micorunの自己紹介

自己紹介を長々と書きました。

05 何が書いてあるのかさっぱり分からない

友達から聞いたことをヒントに、自分の描いたネームや過去の原稿を見返しました。
当時はクラシック音楽を題材にした漫画を描いていて、曲がりなりにも専門知識を持っていたので作品内にその知識を盛り込み、濃い設定みたいなものを演出しようとしていました。
自分の描いた作品なので、当然何を言いたいのか、用語や絵を見れば何のことだか手に取るように分かります。
そこで友達の言葉を頼りに、頭を空っぽにして、もう一度同じ原稿を読んでみました。
その結果は……さっぱり分かりませんでした。
理解出来たのはキャラクターの表情や感情の変化くらいで、何も面白い部分がないだけでした。
何がどうなっているのか、まるで分からなかったのです。
私は「そうか、これが原因だったのか」と膝を打つように納得しました。

私の頭の中では音楽用語は勿論、クラシックのマニアックな知識も無意識に理解出来るプログラムが用意されていますが、音楽、特にクラシック音楽を勉強したことがない人、もっと言えば関心がない人にとっては、用語は勿論のこと、五線譜すら読めない人が多くいる現実に気付くことが出来ました。

これがもし、音楽大学の専門書であったのなら、理解出来ない読者の責任であり、読み解くための知識を事前に用意してもらう必要があります。
しかし私が描いたのは、エンターテイメントとしての漫画であり、無名の素人のらくがきのような物です。

立場としては真逆で「読んで理解させる」のではなく「理解してもらうために、読んでもらう」のです。
そんなマンガでは、誰も読みたがらなくて当然です。

確かに世の中には難読な作品でも多くのファンがいる作品や、専門知識が必要不可欠な作品が多くあるのも事実です。
しかしそれらの作品には、知識を用意してでも作品に触れたいという動機を持たせる、圧倒的なクオリティを持っているのです。
知名度、作家性、画力や作画、ネームバリューやストーリーなど、特定のカテゴリでは唯一無二とも言えるような、強力な要素があるのです。

私にそんなクオリティは、何一つありませんでした。
音楽活動がベースで、それに漫画や絵を活かすのならまだしも、作りたいのはマンガだったので、むしろ音楽の知識は読んでくれるユーザーを減らしてしまう、足枷にすらなっていたのです。


分かりづらい内容を分かりやすくするのは大変です。そこで私はゼロからやり直すことにしました。

面白さよりも、まずは分かりやすさを追求するために、根本的な面を全部変えていきました。